一般的な相続対策として、遺産分割対策、納税資金対策、節税対策が挙げられます。遺産分割対策は、相続税の申告義務があるなしにかかわらず、すべての人が考えておかなければいけない対策です。一方、納税対策・節税対策は、主に相続税の納税を視野に入れた対策です。相続人のうちの誰にどの財産を承継させるか、相続人の間で争いが起きないか、検討をしておく必要があります。

遺産分割対策

遺産分割を滞りなく行う為にも遺産分割対策を考える必要があります。申告期限までに遺産分割が決まらない場合、相続税にある負担軽減制度(配偶者控除、特定事業用資産の特例など)が適用されず納税の負担が増すことになるからです。揉めない為にも現状の財産を分割しやすい財産に組み換え、相続人に受け継ぎやすくしておくことをお勧めします。

一番有効なのは遺言書を作成することです。遺言が無いばかりに残された相続人の間に深刻な争いが生じたりすることがよく聞きます。極端な話、遺言書があれば遺産分割のほとんどが解決されるといっても過言ではありません。遺言は法定相続人の権利よりも優先され(遺留分を侵害している場合は減殺請求されることはあります)遺言書があれば分け方については解決近しといえます。

相続対策

節税の考え方としては贈与により所有財産の移転を行うことや課税価格を引き下げる対策、優遇制度を活用することが考えられます。

【計画的・長期的贈与】

年110万円の基礎控除(暦年贈与)を活用した贈与は、長期的・計画的に行えば確実な節税対策になります。

【配偶者控除】

配偶者には「贈与税の配偶者控除の特例制度」があります。例えば、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭を配偶者間で贈与する場合は 2,000万円(基礎控除と併せて2,110万円)までは贈与税がかかりません。ただし婚姻期間が20年以上という条件や申告が必要などの要件があります。

【賃貸用不動産】

自分が使用もしくは未使用の不動産を100とすると、賃貸用不動産は70程度の評価となります。未使用の不動産を賃貸用とすることで課税価格を引き下げることができます。

【養子縁組】

相続税の基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)や生命保険金等の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を上げることで課税遺産総額を下げることができます。

【生命保険】

生命保険金は500万円×法定相続人の数までは非課税なので、この非課税枠を活用できるだけの生命保険に加入します。

【死亡退職金】

死亡退職金は500万円×法定相続人の数までは非課税なので、その範囲内であれば相続税はかかりません。

納税対策

節税ばかりに目がいきがちですが、相続税を支払う財源対策も必要です。節税ばかり考えていても相続税を納付する資金がないのでは意味がありません。主な対策としては以下のことがあげられます。

【金融資産計画的贈与】

アパートなどの収益を生む財産を子供に贈与することにより、贈与後の家賃収入を子どもに移転します。家賃収入により増えていく金融資産を将来にわたって抑えることができ、子どもは納税資金を準備できるのです。

【生命保険】

被相続人が生命保険に加入し受取人を相続人にしておけば、被相続人が亡くなった後に相続人に死亡保険金が入ってきますので、納税資金に役立てることができます。

【物納】

2006年の法改正により大幅な制限が設けられたため、物納は非常に使いにくい制度になりました。しかし相続財産のほとんどが不動産の場合は、生前から物納条件を満たす準備さえしておけばメリットがあります。